まずはココから!
中島猪犬訓練所の原点となる訓練場
高台に位置する訓練場から一望できる美しい田園風景
■訓練料金:3,000円/1頭
若犬の猟欲促進訓練、実猟でイノシシに負けてトラウマを受けた犬の治療的訓練、猟期前の勘を取り戻すための訓練、犬と猪との駆け引きを間近で確認したい、などなど、基本的な訓練ならばここが最適。捜索力を磨く!深いブッシュに覆われた実践環境
フェンスで囲われた約1000坪の敷地に、中央に高くヤグラがそびえ立っている。
ハンドラーと犬の入場口
犬はハンドラーと共に入退場口から入り、対戦相手のイノシシは、訓練場反対奥の猪舎から放たれる。
初心犬の場合は、イノシシの入場口前で待機し、イノシシが飛び出した姿を目視させてから放して追わせるが、慣れてくると、イノシシを先に放しておきブッシュに身を潜めさせてから、犬を入場させる。
猪の出入り口
「グラウンドみたいな平坦で開けた場所にイノシシは寝ない。目の前のイノシシ相手に派手な立ち回りが出来る犬でも、見つけられなければ意味はない。姿を隠したイノシシを見つけることが猟犬の役目だ。」と。
その信念に基づいて創られた第1訓練場は実践を想定して、起伏が激しく、深いブッシュに覆われている。訓練場全体が広大な寝屋のようなものと想像してもらえば、わかりやすいだろうか。地面が見える空間はほんのわずかで、放された猪が一度ブッシュに身を潜めると、視覚だけで見つけだすのは至難のわざである。ここで犬の捜索力と、姿の見えないイノシシに立ち向かう胆力が鍛えられる。
ヤグラは司令塔
中央にそびえ立つヤグラは、単なるリングサイド観戦席ではなく、この訓練場にとって不可欠な存在である。
そこでヤグラ上からは、訓練場全体をそれなりに見渡せる(全てではない)ため、同行人がヤグラに上り、イノシシの動きを目で追って、「そっちへ行った。」、「そこのブッシュに入った。」と、ナビゲーション代わりにハンドラーを誘導する役目を担う。
少しでも目を離すと、一瞬の隙にイノシシはブッシュに姿を消して見失ってしまうため、ヤグラ上の同行人は責任重大である。
・・・が、ヤグラからの景色がまた素晴らしいため、管理人はつい遠くを眺めてしまい、その隙に見失うことが多い。イノシシを見失ったハンドラーにとって頼みの綱は同行人だけなので、失敗するとヒンシュクを買うが、こんな時は素直にあやまろう。
捜索意欲を駆り立てる宝探しゲーム
イノシシが身を潜める場所は、たいていパターン化しており、慣れてくると宝探しゲームの要領で楽しめる。最初のうちはハンドラーが先にイノシシを発見し、犬を誘導してやることが多いが、回を重ねると犬も理解し、ハンドラーに依存することなく、嗅覚、聴覚、さらに勘を働かせて、純粋にイノシシを起こす楽しみを感じだす。初夏になると、人が立った状態でこの視界。
慣れた犬は、放つや否や、小気味よい動きでブッシュの中をかいくぐり、匂いや音、そして経験からの勘を頼りにイノシシが潜んでいそうなポイントをシラミ潰しに探して回るようになる。
犬の勘が当たって最初の場所で発見できることもあれば、外れることもあり、時にはいつものパターンとは異なった思いも寄らない場所に潜んでいることもあったりで、そのランダムさと、ハンドラーとの共同作業の末に最後には必ず行き当たるという仕組みから、捜索意欲が刺激されていく。
コースワイズから抜け、本物の捜索力を身につける。
捜索意欲は向上するものの、訓練の途中段階で『コースワイズ』の傾向が見られるようになってくる。『コースワイズ』とは、訓練回数を重ねることで、犬が訓練場(コース)の地形とイノシシの潜むパターンを学習してしまい、勘のみの捜索で発見できるために、嗅覚、聴覚を疎かにする傾向のことである。これでは訓練場では名犬に見えても、山では役に立たない。
ところがここの環境とイノシシはそう甘くはなく、なにをどう探しても、犬もハンドラーも、ヤグラの上の同行人すらも見失い、絶対に見つけられなくなってしまうことがある。
そこで犬も犬なりに考え、勘だけに頼らず、5感をフルに使わなければ発見できないことを悟る。そうして真剣に探し、ようやく発見した時の喜びが強いモチベートとなり、さらに捜索力に磨きがかかっていく仕組みである。むろん、山引き訓練も重要だが、訓練所との併用で、捜索する集中力、そしてその精度の高さは確実に上がる。
イノシシ棲息数の多い地域ならいざ知らず、少ない地域の猟師にとって、イノシシの匂いを覚えさせ、その匂いの主こそが対象獣であり、探すその先にイノシシ本体がいることを覚えさせるには、非常に効率的な訓練である。
そしていよいよ発見したイノシシにどういう反応をとり、どういう駆け引きをするか、そこから始まる展開は、いつ見ても心弾むものである。
犬のレベルに合わせた豊富なイノシシを使い分ける。
人と犬の安全を最優先に!
これが一朝一夕では出来ない、歴史ある猪犬訓練所の強みであり、重要なファクターである。
初心犬のうちに強いイノシシに攻撃されるとトラウマとなり、その後一切、イノシシに向かわなくなってしまう例は周知の事実である。慎重に若犬に自信をつけさせ、猟欲を引き出していくのが訓練である。
第1訓練場では、野生のイノシシをそのまま使うわけではなく、中島所長が長い年月をかけて調教したイノシシが在籍している。
逃げ一方のタイプから、逃げては止まるタイプ、激しくまくる荒いタイプまで、総勢10頭のイノシシが揃い、犬種、年齢、経験、性格に合わせて使い分けてくれる。そしてどのタイプのイノシシも、人に向かってくることは皆無なので、安心して訓練できる。
大イノシシだからこそ、見えてくる意外な反応
中島所長が好んで使う訓練イノシシは、逃げ一方タイプと逃げては止まるタイプで、荒いタイプを使うのは稀である。
弱いイノシシ相手に犬が自信を持ち過ぎて、実猟で特攻して怪我をしないか?
・・・と、ご心配の方はご安心を。
10貫(約38kg)〜15貫(約56kg)クラスの野生のイノシシなら声も無く咬み止める猛犬でも、存外、単犬で大イノシシに対峙するや、鳴きにまわったり、怯えてソッポを向いてしまうことさえある。初めて見る猛犬の意外な一面に驚く飼い主も多い。
斬られる心配は、この大イノシシに対峙できた後で充分である。まずは、この大イノシシに耐性をつけることで、獲物の大小強弱関係なく戦う胆力を養える。また、逃げ一方タイプを怒らせて、足を止めさせることができれば、それはかなりの名犬の証明とも言える。
これほどの大イノシシ相手に、受傷の心配なく訓練を施せるのは、第1訓練場ならではだろう。
フェンス越しコース
初心犬用には、絶対に怪我をしない、怖い思いをさせないためのコースも。
まったくの初心犬や幼犬用に、フェンス越しコースも用意されている。
全長15mほどの細長い通路のように仕切られたフェンス内にイノシシを入れ、フェンス越しに犬を対峙させる訓練である。フェンスに守られ、自分に危害が及ばないことを知っているため、犬は強気になりやすく、猟欲の芽生えを促す訓練になる。
ベンチ系(ショー系)の猟犬種を飼育している愛犬家が、好奇心からフェンス越しコースを試して、愛犬の思わぬファイトぶりに感動して狩猟家の道に入った人もいる。